「国立新美術館のオルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展を見てきたぞ」
「なぜ?」
「本当は見るなら来月以降の方が都合が良かったのだけどね。気分も乗っていたし、そもそも7月を過ぎると人が増えそうな気もしたので。6月の今のうちに午前中に行ってくると良いかと思って」
「それでどうだった?」
「開始時刻に行ったら既に行列だよ」
「長い?」
「それほど長くはなかったので良かった。でも例によって序盤の展示は人で一杯。とても見られたものではない。例によってそこはサクッと飛ばして先の方から見始めた。それでも人は多かったけどね。でも見られた」
「それで?」
「取りあえず【シャトゥーの鉄道橋あるいはバラ色のマロニエ】という絵の前の人が少なかったのでな。その絵の前で頑張ってその絵がどう構成されているのか。じっくりと見たよ。最初にパッと見たときには分からなかったが、中心点の軸が見えるとそこから右上から左下、左上から右下へのX字型の構成が見えてきましたよ。それから、曲がりくねったラインもあってな。そういう構成かと納得したよ。色の構成も上手いしね」
「他の絵は?」
「けっこう見たぞ。どれも上手かった。人物画よりも花の絵の方が色使いが大胆というのは確かにそうだと思った」
「全般的には?」
「赤、黄、緑。この3色が基本なのかね。あとは青と白、そして黒」
「赤、青、黄でも、赤、青、緑でもなく?」
「いろいろな色を自由自在に使っているのだと思うよ」
「結局何がいちなん面白かった?」
「実は、ルノワールの次男のジャンが監督したのが映画【フレンチ・カンカン】で、これは既に見ている」
「まさか、そんなところで縁があるとは思わなかったのだね」
帰り §
「帰りは徒歩で渋谷まで歩いた。六本木渋谷間、実はそれほど遠くないと気づいたので」
「なんて奴だ」
「割と面白かったな」